あるきっかけで、「○○○萌え」という表現について考えていた。というか、うっかりこの表現を使ってしまった後で、オタク界隈に明るくない人に不親切なので簡単な注釈を付けておこうと考えて、はてなキーワード「萌え」をチェックしたところ、自分の用法にぴったりの説明が無かったので、はて、それではどういうことだろう、と考え始めたのであった。
そのときの用例そのものを説明すると長くなるので、代わりに共通する用法を設定して話を進めよう。ズバリ、共通する用例とは、増チャ@Lingrにおける「太一郎萌え」である。
「太一郎萌え」とは、太一郎が好きで好きでたまらないので、あるいは太一郎はそのように扱われるキャラに決定したので、もはや太一郎のやることなすことなんでも可愛いとしか思えない、仮に太一郎がそこからはみ出すことをしたとしても、強引解釈をして愛でてしまうという行為または状態のことである。既存の日本語としては、アバタもエクボ、あるいは親バカが近い。
ただしオタク用語としての「○○○萌え」は既存の表現が指すような対象、例えば自分の恋人、想い人*1、子供に対しては使わず、そのような表現が通常向けられるとは考えにくい対象を「あえて」愛でてみよう精神が入っていることは特筆に値する。本来は、キャラ萌え表現というものも、その時点では一般的でなかったキャラクターへの過剰な愛情を、あえて・大袈裟に・開き直って・堂々と・公言しちゃうもんね精神とでも言うべき気分、オタクらしい自嘲込みの表現だったのではないだろうか。
親バカも、アバタもエクボも、そして萌えだって、本来は素直な表現なのね。なのに会話くんの思いつく用法って、親バカであることを自覚しつつ自嘲的に言う、あるいはそんなに親バカでもないんだけどそういうことにしといた方が面白いかなと思ってあえて親バカ風に振舞う的なヒネリ系ばかりなんだな。素直じゃないよね。
*1:古っ。